近世城下町ふるさとまつりの起源
近世城下町ふるさとまつりの起源は、2011年のNHK大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』の放映に起因します。NHK大河ドラマの記念すべき第50作となったこのドラマの舞台となった長浜では、市民が中心となって浅井三姉妹ゆかりの地である市内の3か所に「浅井・江のドラマ館」「小谷・江のふるさと館」「長浜黒壁・歴史ドラマ50作館」を開設し、当該作品ゆかりの資料展示や過去の大河ドラマの上映、ゆかりの史跡紹介などを展開しました。
この中の「長浜黒壁・歴史ドラマ50作館」は、滋賀県最大の観光地「黒壁スクエア」への観光とあいまって好評を博し、過去最高の観光入込数を記録しました。この『江~姫たちの戦国~』を契機に、戦国・大河のふるさと「長浜」として全国に発信しようと市民による組織はそのままに翌年2012年「戦国・大河ふるさと博覧会」を一年間の会期にて開催しました。
近世城下町ふるさとまつりには、長浜の文化と歴史を感じていただける楽しいイベントをご用意しています。イベントには「観る」「体験する」「食べる」「学ぶ」の4つの楽しみ方があり、どれを選んでも戦国の香り漂う「長浜」を満喫していただけます。
お好きなものをチョイスして戦国時代にトリップしてみてください。
近世城下町ふるさとまつりが織り成すもの
この『近世城下町ふるさとまつり』は、長浜のまちが紡いできた歴史と文化を縦糸に、現在のまちの賑わいとこれからのまちの発展を横糸に紡ぐ事業で、今までに多くの参加者と、招聘したゲストによって歴史を積み重ねてきました。
年々進化し、多くの参加者と観客に楽しんでいただいている「武将パレード」(パレード部会)。 「殺陣」のパフォーマンスを披露していただく迫力満点の「天下一演武会-刀ACTION-」(パレード部会)。
秀吉の政策さながらに、自由に露店を展開する「楽市楽座」(楽市楽座部会)。 近世の町衆たちの“粋”を間近に感じ、巡ることで知的好奇心をくすぐる「城下町のまちめぐり」(まち歩き部会)。
近世城下町「長浜」に思いを寄せながら、市民によるコーラスで華を添える「城下町コンサート」(交流会部会)。
城下町を有する魅力的なまちからゲストを招き、そのまちの歴史と文化を紐解くことで明日のまちづくりを考える「近世城下町トークライブ」(交流会部会)。トークライブで学んだまちから、まちづくりの最前線に立つ民間の方と共に、今後のまちづくりのあり方を議論し、交流を深める「近世城下町サミット」(交流会部会)。
上記の7つの事業から成り立つ「近世城下町ふるさとまつり」は、回を重ねるごとに進化してきました。
大河ドラマの博覧会からスタートしたこの事業がまず最初に目指したものは「博覧会という特別で巨大な事業の後にやってくる衰退をいかにして食い止めるか」でした。4つの部会が知恵を絞って「賑わい」や「地域力の強化」、「魅力の発信」に「人材育成」と、それぞれの部会のアジェンダの中で出来得ることを最大化して事業を進めながらまちに尽力してきました。
近世城下町ふるさとまつりがめざすもの
「まちの力」とは「人の力」です。近世から近代、現代に至るまで脈々と受け継がれてきた長浜人の気風「進取の気性」は、秀吉が長浜の町衆を慈しみ育てたものです。秀吉の没後もそれを受け継ぎ育てた町衆は、それぞれの時代で出来得ることを最大化し、まちを発展させ、近代で花開き、現代にも通底する長浜の「町衆文化」となりました。これを途絶えることなく後世に引き継ぎ、没個性的でない魅力的なまちづくりを目指して取り組んできました。
そんな中、2020年東京オリンピック・パラリンピックのインバウンド増大への施策として文化庁が「日本遺産」の認定制度がスタートしました。それに長浜の歴史的魅力や特色を通じて文化・伝統のストーリーを登録しようとする動きが近世城下町ふるさとまつり(交流会部会)から発生します。残念ながら登録には至りませんでしたが、この活動は「長浜・秀吉遺産」登録制度(長浜市)に受け継がれ、近世・近代化遺産などの文化財の保護のみならず、景観や長浜人の心を捉える風景にも適用される制度として、2021年からスタートしました。
観光の観点からは交流人口、特に昨今の状況下では関係人口を増大させることが重要です。近世城下町ふるさつまつりでは、戦国時代フリークの聖地「長浜」と深く関わっていただける武将パレードや、近世の町衆の息吹を感じるツアー(城下町のまちめぐり)などで関係人口増大に努めています。そして今、これからの大河ドラマの主人公として「石田三成」が期待され、注目されています。石田三成大河ドラマ誘致に向けての市民の機運醸成活動が今後の課題となります。近世城下町ふるさとまつりの中で、これにも取り組む姿勢が現れ、活動を開始しています。このように、近世城下町ふるさとまつりとは、長浜の「町衆文化」後世に引き継ぎ、育て、時代が求めるものに向き合い、出来得ることを最大化し、まちを発展させるための活動をする「長浜人」が奮戦する、色彩豊かな舞台(ステージ)なのです。